第10章 浮気がばれて


 3日後、仕事を終えて着替えをしていると携帯が鳴った。横山からだった。
 「もしもし」
 《梓か? 今からどうだ?》
 「まっすぐ帰って、夕食の準備をしなければならないの」
 《純とか言うレズビアンと同居していたんだったな》
 「え、ええ」
 これも美どりとか言う女からの情報だろうか?
 《この前は疑われなかったのか?》
 「浮気するんじゃないわと釘を刺されたわ」
 《レズは嫉妬深いからな。夕方がだめなら、昼間はどうなんだ?》
 「純にばれたら困るのよ」
 《ばれないようにすればいいさ。昼間は?》
 「1時から仕事なの。午前中なら」
 一度のセックスで完全に横山の虜になっていたボクは、誘いを拒否できなかった。
 《じゃあ、明日の10時にこの前と同じ場所で待つ》
 携帯が切れた。ふうと溜息が出た。

 戻ってきた純の顔を見ていると、どうしてあんな約束をしてしまったんだろうと後悔した。けれど、一方では明日が待ち遠しくて堪らなかった。
 「梓、あなた、ちょっとおかしいわよ」
 「そんなこと、ないわよ」
 そう答えたけれど、胸がドキドキしていた。

 午前9時、着飾っていきたかったけれど、ぐっと我慢していつもの出勤着でマンションを出た。
 9時45分には約束の場所で横山がやってくるのを待った。
 (来ないなあ)
 10時を過ぎても横山はやってこない。携帯を取りだしたところで横山がやってきた。
 「すまん、すまん。急用が入ってな。行こうか?」
 遅れてきたことに腹を立てていたのに、横山の顔を見たとたん、怒りは雲散霧消していた。
 4日前と同じラブホテルに入った。入ったとたん、ボクの方から唇を重ねていた。
 「おい、おい。飢えた雌犬みたいだぞ」
 「そうよ。わたし飢えてるの」
 横山をベッドの上に押し倒して、フェラチオを始めた。喉の奥まで飲み込んでも、まだ残っている。長大だなと感心する。
 「処理してきたな?」
 「ええ。綺麗にしてきたわ」
 浣腸して直腸を洗い、オイルを塗り込んできていた。横山はコンドームをせずに生でボクに挿入した。
 「やはりセックスは生だよ、生」
 ビールみたいだなと心の中で笑った。しかし、ボクも生の方がいいと思う。生の方が、断然感じるのだ。

 続けて3回も射精されてグッタリだ。仕事に行きたくなかったけれど、行かなければ、純にばれる確率が上がる。気怠い身体に鞭打ってシャワーを浴び、直腸の中を洗い流して仕事に行った。
 レジ打ちのスピードが少し鈍っているけれど、ミスは犯していない。これくらいのことでミスは犯せない。

 夕方、いつものように純を迎える。
 「今晩のメニューは何?」
 「麻婆茄子に、冷や奴よ」
 「いいわね」
 ニコニコしながら純は着替えに行った。麻婆茄子は好評で、少し作りすぎたかなと思っていたけれど、純が食べ上げてくれた。
 食器の片付けを終えて純のそばに行くと、純が突然人が変わったようにボクに服を脱げと言い出した。
 「どうしてよ?」
 「いいから、着ているものを全部脱ぎなさい」
 純の命令には逆らわないという約束は、まだ生きている。ボクは着ていたものを脱いで裸になった。
 「四つん這いになってお尻を上げて!」
 かなり拙い状況だと感じた。
 「今日、シャワーをしたわね?」
 「え? ええ。暑くて汗を掻いたから」
 シャワーをした証拠を何か見つけたのだと感じたボクは、とっさにそう答えた。
 「あ、そう」
 言ったとたん、指をアヌスに突っ込まれた。
 「痛い! 急に入れたら痛いじゃないの!」
 「ふん。これはどう言うこと? わたしの指先に突いてる白いものは。さあ、言ってご覧なさい!」
 どうやらそれはザーメンが固まったもののようだ。
 「わからないわよ。何なの?」
 ボクはしらばっくれる。
 「これはザーメンでしょう! 梓が男と寝た証拠よ!」
 「勘違いよ。男となんか寝ていないわ」
 「よくもシャアシャアとそんな嘘を言えるわね! この雌豚が!!」
 バシッと尻を叩かれた。
 「あなたが男とラブホテルに入っていくところを見た人がいるのよ! 白状しなさい!!」
 「違うわ。人違いよ」
 ボクはあくまでもしらを切る。
 「ホテルに入っていくところを見たのはわたしよ。朝からずっとあなたを尾けてたの。それでもしらを切るって言うの!」
 尻がばしばしと叩かれた。
 「あんなに愛してあげたのに、裏切るなんて、許せない!!」
 なおもボクの尻を叩き続けた。
 「出て行って。今すぐ出て行って!」
 横山のレズは嫉妬深いという言葉が実感できた。ボクは服を着て、荷物をまとめると、玄関に向かった。
 「ごめんね、純。あなたも好きだったけど、男の方がいいの」
 そう言い残して純のマンションを出た。

 仕事はあるけれど、宿無し状態になった。貯金は20万あまり。部屋を借りるには少なすぎる。助けてくれそうなひとは横山しか思い浮かばなかった。
 「もしもし、横山さん?」
 《梓か。どうかしたか?》
 「純にばれてマンションを追い出されたの」
 《で?》
 「冷たいのね。どこか泊めてくれるところ、ないかしら?」
 《俺がひとり暮らしだったら泊めてやってもいいが、残念ながら女がいるからなあ》
 「どうにもならないの?」
 《ならないさ。誰か男でも引っかけて、ラブホテルにでも泊まれよ》
 最悪だ。携帯を切って、駅前のビジネスホテルに泊まった。恐らく今晩だけの贅沢だ。

 夜が明けて、チェックアウト時間ギリギリまでホテルにいて、それからファミレスで食事を取り、荷物を駅のコインローカーに納めて仕事に出た。
 先行き不安で1日中気が滅入っていた。
 「梓、どうかしたの? 彼氏に振られたの?」
 着替えをしながら同僚が尋ねてきた。
 「みたいなものね」
 純は彼氏と言えば彼氏だったかもしれない。
 「梓は性格がいいから、すぐに彼氏が見つかるわよ」
 そう言ってくれるのは嬉しいけれど、今日見つからなければ、困るのだ。
 (性格がいい? 可愛いとか言ってくれないのかな? まあ、無理かな。ボクの器量では)
 同僚にさよならを言って、店を出てすぐに携帯が鳴った。
 《男は見つかったか?》
 「すぐに見つかるはずがないでしょう?」
 《そりゃ、そうだな。昨日はどこに泊まったんだ?》
 「ビジネスに泊まったわ」
 《ビジネスね。今晩はどうするんだ?》
 「決めてないわ。横山さんに何の関係があるの?」
 冷たく言ってやった。お返しだ。
 《関係あるさ。今晩のホテル代を出してやろうって言ってるんだよ》
 「わたしを抱きたいってこと?」
 《まあな。どうするんだ?》
 蹴ることもできる。けれど、それでは泊まるところに困ってしまう。
 「そうね。どうしてもわたしを抱きたいって言うのなら、応じるわ」
 《何しょってるんだよ。宿無しの癖して》
 「わかったわ。お願いするわ。どこに行けばいいの?」
 《いつものところ。30分後に》
 携帯が切れた。とりあえず今晩の宿は確保できた。少しホッとして、コンビニでおにぎりを買って食べ、いつもの場所に行った。

 ボクは横山に貫かれ、横山の背中に爪を立てていた。
 (すごい、すごい。やっぱり横山はすごいよ)
 ジュッポジュッポジュッポと横山のペニスがボクのアヌスを出入りしている。アヌスの粘膜が、そして前立腺が横山のペニスに刺激されて快感の波をボクの脳みそに送ってくる。
 「ああ、いい。ああ、いい。横山さん、いいっ!!」
 ボクは身体を震わせ、何度も何度も行った。

 今日は2回ボクの中に射精してから、引き抜いてタバコを吸い始めた。
 「今日はもう終わり?」
 「毎日3回できるかよ!」
 タバコの煙をフッと吐きかけられた。
 「ところでよ。昨日、おまえから電話があったあと、誰かおまえの世話をしてくれるやつが居ないか捜したんだよ」
 「そうなの・・・」
 他の男じゃなくて、横山に世話をして欲しかった。
 「でだな。いいやつが見つかったんだよ」
 「ふうん」
 「何だ? 気がねえな」
 「とんでもないわ。どんな人なの?」
 「ちょっと待てよ」
 横山はベッドから立ち上がると、ジャンパーの内ポケットからノートを取り出した。
 「名前は、桜井義彦。義彦って言ったら、おまえの本名と同じだな?」
 「え? ああ、そうね」
 自分の名前と同じ男とだなんてイヤだなと思った。
 「薬の卸問屋の社長をやっている。金はあるが、ちとシブチンだな」
 「ふうん。でも、住むところと生活費をくれれば御の字だわ」
 「おまえも望みが小さいな。まあ、いい。その方が先方も喜ぶ」
 「年はいくつなの?」
 「年齢は、52だな」
 「52!」
 ボクの父よりも年上だ。けれど、贅沢を言っている場合ではない。
 「よければ先方に電話をしてやるが?」
 悪ければ、次を頼めばいいのだ。ボクはお願いしますと答えた。横山は早速電話を掛け始めた。
 「もしもし、横山です。例のニューハーフの件ですが、社長のお世話になってもいいと言っていますがどういたしましょうか? 顔ですか? ああ、そばにいますから、写真を撮ってメールしましょう。いったん切りますよ」
 携帯を切ると、横山はボクに服を着るように命じた。
 「いくら何でも裸の写真は送れんだろう? 俺と関係があることが見え見えになっちまう」
 確かにその通りだ。ボクはブラとキャミを身に着けた。
 「おまえの考えはわかる。上半身だけ撮って送ればいいって言いたいんだろう?」
 「そうよ」
 「全身像も送った方がいいと思うぜ。パンツはともかくスカートは穿けよ」
 「わかったわ。どこで撮るの?」
 ベッドの上というわけにも行かない。
 「ソファーに座れよ」
 入り口近くにあるソファーに座る。女の子らしく膝を揃えて。カシャリとシャッターが落ちた。
 「立って」
 斜に構えて一枚撮らせた。横山はすぐに写真をメールで送った。1分もしないうちに横山の携帯に電話がかかってきた。
 「横山です。はい。気に入りました? わかりました。で? どうしましょうか? これから? ああ、しまった。そんなことならホテルを取らなきゃよかった。たった今、ホテルに行かせたところなんですよ。すみません。じゃあ、明日の午前9時に、マンションの方へ行かせます。それではよろしく」
 携帯を切って横山は舌を出した。
 「今からおまえを行かせちゃ、心残りになるからな」
 そう言って、勃起したペニスを突き出した。

 それから再び2回もボクの中に射精して、可愛がってもらえよと言い残して横山はホテルを去っていった。
 ホテルで一夜を過ごしてから、店長に急用ができて休みたいと連絡を入れてから、教えられたマンションに向かった。
 そのマンションは、会社の社長をしているとあって、紗也伽や純が住んでいたマンションよりも高級だった。ただ、オートロックではない。
 エレベーターを上がり、部屋番号を確かめてチャイムを鳴らすと、インターフォンから誰だ?と返事があった。
 「横山さんに紹介された梓です」
 《おお、来たか。少し待て。すぐに開ける》
 ドタドタと足音がして、ドアが開いた。白っぽいガウンを纏った、禿頭の好色そうなオヤジだ。
 「おお、写真で見るよりもいい女じゃないか。入って、入って」
 ホテルでばっちり化粧をしてきたからだろう。
 「お邪魔します」
 部屋の中は、外見通り高級だ。
 「いいお住まいですね?」
 「あばら屋だよ。早速だが、そこで裸になってくれ」
 「えっ! 裸に・・ですか?」
 「そうだ。さっさと着ているものを脱いで」
 有無を言わさずそう言われ、戸惑いながら着ていたものを脱いでいった。
 「パンティも脱いで」
 最後の一枚を脱ぎ去った。
 「手を退けて、真っ直ぐに立ちなさい!」
 睨み付けられて、言われた通りにした。
 「うむ。乳が小さいな」
 「ホルモンを少し使っただけですから」
 「そうか。ウエストはまあ締まっているな」
 「ウエストニッパーで締めていましたから」
 「ヒップが小さいのは、ニューハーフにありがちだからいいとして、前屈みになって、両足を開いて」
 言われた通りにすると、桜井はボクの後ろに回ってアヌスをジッと見つめている。
 「あまり使い込まれてはいないようだな。どれ、力を抜いていろよ」
 片手がヒップに当てられ、指がアヌスに挿入された。
 「ふむ。いい締まり具合だ。拡張されすぎて緩いのはどうもいかん。次は、フェラチオを頼む」
 「えっ?」
 「フェラチオだよ。チンポを舐めてくれ」
 そう言うと、桜井はソファーにでんと腰を下ろした。不満だけど桜井の両足の前に跪き、ガウンの前を開いた。何も穿いていなかった。
 かなり使い込まれたと思うペニスがダラリとぶら下がっていた。桜井の顔を見ると、早くしろと顎で促された。
 ボクは両手で桜井のペニスを握り、舌を這わせた。
 (上手くやれば、囲ってくれるかも)
 そう考え、ボクの持てる技術を駆使して桜井のペニスを舐めた。
 「おお、なかなか上手いな。これも合格だ」
 まだフェラチオをしているのに桜井は立ち上がってガウンの前を合わせた。
 「よし、合格だ。服を着て」
 ボクはそそくさと服を着込んだ。
 「今日からわたしの妻にしてやる」
 「えっ! 妻・・・ですか?」
 ちょっと驚いた。愛人とか、ペットとか、奴隷とかだと思っていたからだ。
 「そうだ。わたしの妻らしく振る舞ってくれ。いいな?」
 「は、はい」
 妙なことになったなと茫然と桜井の顔を見ていた。



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