第3章 犯された


 目を覚ますと、両手両足にガムテープが巻かれて床の上に転がされていた。口にもガムテープらしきものが貼られている。
 目出し帽の男は、俺が脱ぎ捨てていたズボンのポケットから財布を取り出して、1000円札を抜いてポケットにねじ込んだ。俺が持っていたなけなしの金・8000円だ。
 「もっとあると思ったのに、しけてるな」
 呟きながらサイドボードの扉を開いている。男はどうやら女の住居ばかりを狙っている強盗のようだ。
 「気がついたのか? 金はどこに隠してある?」
 俺のそばにやってきて膝を突き、俺の顎を持って尋ねる。
 「おう、そのままじゃ、声が出せねえな」
  俺の口に貼ったテープに手を掛け、懐からバタフライナイフを取り出して俺の喉元に当てた。
 「騒いだら、ぶっ殺す。いいな?」
 騒ごうにも騒ぐわけには行かないのだ。俺は頷いた。ベリッとテープが剥がされた。
 「改めてもう一度聞こう。金はどこだ? どこに隠してある?」
 声を出したら、男だとばれてしまう。声を出すわけには行かないから、俺は首を横に振った。
 「金はないって言うのか?」
 今度は縦に首を振った。
 「くそ! 8000円くらいじゃ、苦労して壁をよじ登った甲斐がねえぜ」
 ブツブツ言いながら、棚という棚を開き、引き出しを開いた。さらに男はキッチンへ行き、ストッカーの中や冷蔵庫の中まで調べている。
 「ホントにねえな」
 ようやく諦めたようだ。このまま消えてくれと願っていると、男が俺に再び歩み寄ってきて、俺の顔を覗き込んできた。
 「おまえみたいな美人は久しぶりだな。金の代わりに一発やらせて貰おう」
 これには俺は驚き、逃げだそうと藻掻いた。
 「まあまあ、そんなに怖がらなくてもいいさ。優しくしてやるからな」
 男は俺の穿いていたスカートをぱっとまくり上げると、パンストとパンティーを一気に膝まで引き下げた。
 男の動きが一瞬止まった。
 「女らしくないケツだな?」
 男だからだと反論したかったけれど、俺はまだ声を出すのを躊躇っていた。ヒッヒッヒといやらしい声を出しながら、男は俺を仰向けにした。
 「な、何!」
 男だとばれてしまった。けれど、俺だとばれたわけではない。このまま立ち去ってくれることを願った。
 「信じられねえな。こんな美人にこんな大きなものがくっついているなんて・・」
 男は、俺の顔と股間を交互に見ている。
 「そうか。女の声が出せねえんだな? だから、声を出さなかったんだ」
 ひとりで納得して頷いている。
 「部屋の中で女装して楽しんでいるという訳か?」
 女装が趣味の男だと勘違いしているようだ。それはそれでいい。俺が女装している理由を知られるわけには行かないのだ。俺は頷いた。
 「そうか。しっかし、美人に化けたな。女の声が出せるようになったら、外出するつもりか?」
 男の想像に合わせた方がいいだろうと考え、俺は頷いた。
 「男だとわかってるんだ。声を出したらどうだ?」
 そうだとしても、気恥ずかしいのだ。
 「部屋の中だけの女装と言うことは、男に抱かれたことはないんだな?」
 「そんなことをするつもりはないよ」
 「そうか。わかったが、やっぱり声を出さない方がいいな。声を聞くと興ざめだ」
 ニタニタしながら俺の顔を見て言った。
 「じゃあ、俺が男の味を教えてやる」
 ギョッとし、そして俺は狂ったようにバタバタと動き回った。
 「イヤか? 女装している連中は、やがて男に抱かれるようになるもんだぜ」
 俺は違う、俺はアリバイ作りのためにと叫びたかったけれど、男にそんな説明をしても信じてもらえないだろうし、もしそんなことをして、松田の殺人が表沙汰になってしまったら、借金が帳消しにしてもらえないのではないかと考えた。
 ともかく何とかして男から逃れるしかなかった。俺は力の限り藻掻いた。
 「おとなしくしろ!」
 背中に電撃が走り、俺は気を失った。

 気がつくと、足首と太股の付け根にガムテープが巻かれ、正座してお辞儀をしたような格好にされていた。ケツの穴のあたりを冷たいものが動いていた。
 (な、何をやってるんだ?)
 振り向こうとすると、後ろ頭を叩かれた。
 「じっとしていろ。動くと怪我をするぞ」
 ジョリジョリとその部分が剃られている感触がする。
 「さて、終わったぞ」
 男が立ち上がって洗面所に向かって歩いていった。その手に、女性用のシェーバーが握られていた。俺のケツの穴の回りに生えている毛を剃り落としたようだ。
 (俺を犯すための準備をしているんだ)
 おぞましさが湧いてきた。男が濡れたタオルを持って戻ってきて、俺のケツを拭いた。
 「止めてくれ。お願いだよ」
 男が泣くなんて恥ずかしいことだ。けれど、俺の声は泣いていた。
 「声を出すと興ざめだと言っただろうが!」
 尻を思い切り叩かれた。それでも俺は、止めてくれよと泣き叫んだ。
 「うるさいやつだ。泣いたって、やると言ったらやるんだ」
 後ろ頭を掴まれ、床に打ち付けられた。目から火花が飛んだ。さらに男は俺の口にガムテープを貼った。
 「これでいい。さて、次だ。ふっふっふ。綺麗なケツマンコだ。処女というのは本当らしいな」
 動くとケツと頭を撲たれた。俺を叩いているのは、そんなに硬いものではなく、かといって枕のように柔らかいものでもない。雑誌を丸めたものかも知れない。
 「おまえ。こんなに大量に買い込んで、いったいどうするつもりなんだ?」
 コンドームの入った箱をバラバラと俺の目の前に放り出す。
 「やっぱり男を引っ張り込んで填めてもらうつもりだったんだろう? この淫乱雌豚が!」
 俺は頭を横に振るけれど、信じる様子はまったくない。ペリッと袋のようなものを破る音がした。コンドームを取り出したに違いない。
 (わあ、止めてくれ!)
 コンドームをした指にケツの穴が撫でられ始めた。ベトベトしているのは、コンドームに付いているジェリーだけではないようだ。何かべったりしたものを塗りつけている。
 (い、いてえ・・)
 指を入れられた。奥へ奥へと進んでくる。
 (もう、止めてくれよ・・・)
 嗚咽が漏れ出てくる。俺はそれを止められない。
 「いい締まり具合だ。どうだ? 気持ちがいいだろう?」
 俺は頭を横に大きく振った。
 「そうか? ここはどうだ?」
 もわっと何かが俺の中に生まれた。
 「ふふふ。感じるだろう? ここはな。前立腺という場所だ。おまえがいくら否定しようとも、ここは感じる場所なんだよ。ホモがどうしてケツの穴を使うと思う? ケツの穴しかないからでもあるが、ここを肉棒で突かれると気持ちがよくなるからだよ」
 男からは見えないだろうけれど、俺のペニスは勃起していた。否定したいけれど、感じているからだ。
 (い、行きそうだ)
 そう思った瞬間、指が引き抜かれた。そして、男が俺から離れていった。もう止めてくれるのかと思っていたら、男はキッチンから缶ビールを持って戻ってきた。まだ止めるつもりはないようだ。
 プシュッと缶ビールを開ける音がして、ゴクゴクと美味そうに飲んでいる。
 「プファー、冷えたビールは美味いな。さて、そろそろ落ち着いたかな? 行くぞ」
 再び指がケツの穴に当てられた。
 (い、痛てえ!!)
 さっきよりも太い。指が二本入れられたのだ。
 「痛てえか? すぐになれる」
 男はぐいぐいと押し込んでくる。痛くて涙が出た。それでも勃起してくる。男がやはり前立腺を擦っているからだ。
 痛みが軽くなり、行きそうになってきたとき、指の存在が消えた。
 (行きたいのに行けない。これじゃあ、蛇の生殺しだ)
 男は俺が行きそうになるのがわかっていて、わざと焦らしているようだ。
 (今度は3本か?)
 再び痛みが俺を襲ったからだ。けれど、3本にしてはどうも様子がおかしい。太いものではあるけれど、指ではないようだ。かといって、男の位置からすれば男のペニスが挿入されたわけでもない。ともかく太くて丸い棒のようなものが俺のケツの穴に入れられている。
 「さあ、そろそろいただくとするかな?」
 男が俺から少し離れた。俺のケツの穴にはまだ何かが刺さったままだ。コンドームの包みを破る音がした。
 (ああ、こんなことになるなんて。こんなこと、引き受けるんじゃなかった。けど、200万のためだものなあ)
 そんなことを考えていると、俺のケツの穴に突き刺さっていたものが引き抜かれた。俺の目の前に放り出されてきたのは、コンドームを被せられたソーセージだった。
 (太くて丸い棒のようなものだ。なるほど、ソーセージだったのか。うぎゃっ!!)
 男の両手が俺の尻を掴んだのはわかっていた。わかっていたけれど、心の準備をする前にぶち込まれたのだ。
 ぐいぐいグイと進入してきて奥まで達すると、男はそのまま動きを止めた。
 「いいねえ。よく締まるねえ。さすがに処女だ」
 俺のケツの穴がピクピクと痙攀している。そのたびに痛みが俺を襲っていた。
 「さあ、俺ばかり楽しんでいても悪いな。男の味を教えてやると約束したんだ。しっかり学べよ」
 そんな約束などしていないと叫ぼうとしたけれど、痛みが襲ってきて呻き声にしかならなかった。
 男は俺の尻をがっちりと掴んで腰を打ち付けた。がむしゃらに打ち付けるばかりではなく、俺のケツの穴が男のものを締め付けるのを楽しむかのようにゆっくりしたペースで出し入れをしたりする。
 前立腺を擦るためだろう、挿入する角度もいろいろと変えている。だから、痛みの中に快感が湧いてきていた。
 「どうだ? いいだろう?」
 見透かされたように尋ねられた。俺は慌てて首を横に振った。
 「嘘をつくな! ちゃんとわかってるんだぞ!」
 腋の下からねじ込まれた手が俺の勃起しているペニスを握った。
 「感じていなかったら、勃起するはずがないだろう! どうだ!!」
 口に巻かれたガムテープがばりっと剥がれた。
 「さあ、正直に言え! 感じてるんだな?」
 答えられない。硬派で馴らした俺が、男に填められて感じているなんてことは口が裂けても言えるわけがなかった。
 「強情なやつだぜ。まあ、そんなもんだろうがな」
 含み笑いをしながら、止めていた腰を動かし始めた。醒めかけていた快感がむくむくと湧いてきて、俺の身体を駆け巡っていく。
 「はあ、はあ、はああん」
 いつしか俺の口から喘ぎ声が漏れ出ていた。男の動きが激しくなっていった。快感の中で男が達しようとしていることがわかった。
 「い、いやだ! 止めてくれ!」
 叫ぶと、男は動きを止めた。
 「本当に止めていいのか?」
 男は俺の中からペニスを引き抜き始めた。俺のケツの穴は抜け出るのを阻止しようとするかのようにキュッキュと痙攀している。
 「止めていいんだな?」
 「ああ・・・。止めないでくれ。行かせてくれ」
 「何だって? よくわからなかったぞ。もっと女らしい言葉で言ってくれないかな?」
 グイと押し込まれ、フウッと行きそうになる。けれど、男は動きを止めた。
 「どうした? 言葉を忘れたか?」
 「ああ、お願い。止めないで。行かせて」
 言ってしまって恥ずかしくなった。けれど、身体が要求していたのだ。
 「へっへっへ。そうか、そうか。じゃあ、行かせてやろう」
 男は再び腰を動かし始めた。意識が飛び始めた。男なのに、男に貫かれて喘いでいることなんて、気にならなくなっていた。
 どこか遠いところで男が呻き、そして、何かが俺の中で蠕いているのを感じた瞬間、俺の意識は完全に宙を舞っていた。

 目を覚ますと、床の上に横倒しにされていた。男が美味そうに缶ビールを飲んでいる。
 「目が覚めたか」
 缶をテーブルの上に置くと、萎えたペニスをぶらぶらさせながら俺のそばにやってきた。 「おまえ、ホント大きなものを持ってるな。羨ましい限りだぜ」
 俺の穿いているスカートを捲って言った。
 「しかし、溜まっていたようだな」
 スカートの裏側や俺の陰毛が、俺の吐き出したザーメンで濡れていた。目覚めたとき冷たいなと感じたのはそのせいだった。
 「こんな立派なものを持っていて、相手をしてくれる女がいねえのか?」
 「1日しなかっただけだ」
 「ほう、そうか?」
 バカにしたように言いながら、足首と太股の付け根に巻き付けていたガムテープを剥ぎ取った。俺は身体を伸ばした。不自然な格好で寝転がっていたから、身体が痛かったのだ。
 すると男は、腹の上に置いた俺の両手の上に乗ってきた。
 「さて、お嬢ちゃん。食事の途中だったから腹が減っただろう?」
 そう言いながら、だらんとぶら下がったものを俺の目の前に差しだした。それが何なのかすぐにわかった。ザーメンが溜まったコンドームだ。
 「さあ、美味しいよ」
 コンドームの中身を俺に飲ませようとしていた。俺は思い切り膝を曲げて、男の背中に打ち付けた。
 「こんにゃろう!」
 男は床の落ちていた雑誌を丸めると、俺の顔面を直撃した。目玉が潰れたと思った。再び雑誌で撲たれた。今度は鼻が折れたと思った。
 「いいか? 今度同じようなことをやったら、これくらいじゃすまねえぞ」
 今度やったら殺されると感じた。
 「大人しくするな?」
 「する。大人しくする。だから、撲たないで」
 女の子に様に言ってしまう自分が情けなかった。
 「じゃあ、美味しそうな顔をして飲むんだぞ。いいな? 口を開け」
 口を開けるとコンドームが傾けられていった。白い液体がゆっくりと俺の口の中に落ちてきた。
 (気持ちが悪い。吐きそうだ)
 そう思っていたけれど、味も何もしなかった。
 「よし、よし、お利口さんだ。じゃあ、次は、おしゃぶりをして貰おうか?」
 「フェ、フェラチオをやれって言うの?」
 「はい、正解!」
 俺は激しく首を横に振った。左の頬に雑誌が打ち付けられた。鼓膜が破れたかも知れない。
 「やるな?」
 雑誌をソファーの上に放り投げると、今度はバタフライナイフをちらつかせた。頷くしかなかった。
 (噛みきってやったらどうだろうか?)
 考えていると、手足のガムテープを巻き直された。
 「もしも噛んだりしたら、このまま窓から放り出してやる。女でも恥ずかしいほどのミニスカートを穿いて化粧をしたおまえを世間の皆さんはどう思うかな?」
 放り出されないまでも、死ぬほど痛い目に遭わされるのは目に見えていた。イヤ、殺されてしまうかも知れない。
 「大人しく舐めるから」
 「何だ? その投げやりな言い方は? あなたの肉棒を舐めさせてくださいと丁寧に言え」
 俺は唇を噛みながら、言われた通りの口上を述べた。
 「よしよし。じゃ、やってもらおうか?」
 ソファーに座った男の前に跪き、舐めてやった。ザーメンとコンドームのゴムと男の臭いが混じったイヤな臭いが鼻をついた。
 だらりとぶら下がっていたものが、むくりと起き上がってきた。
 「フェラチオのやりかたくらいわかるだろう? ちゃんとやらないか!」
 耳たぶを捻られた。俺はそそり立ってしまったものを口の中に入れて舌を動かした。
 「そうだ、その調子だ」
 一生懸命やっていると、男はバタフライナイフを手から放した。
 (この手が自由になれば、こいつを倒すことなど訳はないんだが・・・)
 布製ではなく紙製のガムテープなのだが、外そうとしてもまったく刃が立たない。
 「おう、上手だから出そうだぞ。わかってるだろうが、全部飲むんだぞ」
 ヒッヒッヒと笑う。そして、男のペニスが俺の口の中で大きくなってきて痙攀した。
 「げほっ!」
 上手く飲めなかった。ザーメンが鼻の中の逆流して、臭いと苦しさで死にそうだった。

 もう許して欲しかった。けれど、男はまだ居座っている。俺の手足に巻かれたガムテープを確かめると、何と入浴し始めたのだ。
 ガムテープを外そうと藻掻きに藻掻いたけれど、男がバスルームから出てきて徒労に終わった。
 「さて、おまえにもひとっ風呂浴びてきて欲しいところだが、その服を脱いだら、せっかくのやる気がなくなってしまうだろうな」
 冷蔵庫に残っていた最後の缶ビールを飲みながら男が言う。
 「まだやるの?」
 「ああ。おまえと一緒で溜まってるからな」
 ニタリと笑って言う。溜まっていないと言っても、一蹴されるだけだろうから黙っていた。
 「おまえも一回だけじゃ、出したらんだろう?」
 仰向けの床の上に転がされている俺のそばに座り込むと、男はスカートをまくって俺のペニスを握った。
 「な、何をするんだ!」
 「出してやろうって言ってんだよ。ありがたく思えよ」
 ユルユルと擦り始めた。勃起などさせてたまるものかと考えていたのに、すぐに勃起してしまった。
 「すごいね。何センチあるんだ?」
 答えないでいると何かされるんじゃないかと思ったのに、男は何もせず、突然俺のペニスをパクリと銜えた。
 「うーん。おまえのペニスは最高だ」
 呻きながら舐め続けた。やがて俺は絶頂を迎えて、男の口の中で果てた。男はニタリと笑って、ずり上がってきた。
 「くくしはうへ」
 男は口の中に俺が放ったザーメンを溜めている。だから、不明瞭な言葉だ。けれど、キスしようと言っているのがわかった。
 首を振ろうとしたら、バタフライナイフの冷たい刃先を首筋に感じた。男が顔を寄せてきた。俺が放ったザーメンが口移しされてきた。すべてを俺の口の中に吐き出すと、男はにたっと笑って俺から離れていった。

 夜が白むまで男は居座り、さらに3回も俺を抱いたあと、ベランダからではなく玄関から去っていった。



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