第15章 小野田からの手紙


 遺産相続の手続きが終わったあと、伊藤が俺に一通の封書を持ってきた。
 「小野田様から、小野田様が亡くなった場合にお渡しするように頼まれておりました」
 その封書にはこう書かれてあった。

 『良美、心してこの手紙を読め。
 おまえがわたしの孫ではないことはわかっていた。
 お守りに入っていたあの紙切れは確かに芳恵の書いたものだ。しかし、それを持っていたおまえは芳恵の子ではない。筆跡鑑定と共にDNA鑑定をやっていたのだ。
 先に出た筆跡鑑定では芳恵の書いたものだとわかっていたから、おまえが孫ではないとわかったときの儂の落胆はおまえにはわかるまい。
 一度はおまえを屋敷からたたき出そうと考えた。しかし、儂には血の繋がったものは誰ひとりとしていない。儂が死んだあと、儂の死を望み、儂の財産を虎視眈々と狙っていた奴らに、儂が築いた財産をくれてやるのが口惜しかった。
 芳恵の書いたあの紙切れを持っていたのも何かの縁だろうと考え、儂はおまえを孫娘として認知することにしたのだ。
 それだけではなく、おまえの目に鷲と似たところがあると感じたからだ。おまえなら、儂の跡を継いで、儂以上の成果を上げると確信した。
 おまえを孫として認知したあとも本物の孫を捜し続けていたのだが、この手紙をおまえが読んでいると言うことは、孫は見つからなかったと言うことだ。おまえは運がいい。その運の良さにも儂は賭けたいと思っている。
 もちろんこのことは伊藤も知っている。万が一、おまえが財産を食いつぶすようなことがあれば、直ちにおまえを処分することになっている。そうならないように気を引き締めるのだ。
 では、良美。儂の財産を頼んだぞ
 小野田留蔵』



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