ファッションモデル



 男はエレベーターの扉が開くと、外の様子をきょろきょろと見回してから廊下に歩み出た。
 顔をブルゾンの襟に隠すようにしてこそこそと歩き、ある部屋の前に立った。
 男はもう一度左右の様子を窺ってからチャイムを押した。
 いつもすぐに返事があってドアが開くのに、何の音沙汰もなかった。
 男は首を傾げながらもう一度チャイムを押した。
 やはり返事がなく、男はいらだちながらドアを叩いた。
 「くそっ!! どうして出ないんだ?」
 舌打ちしながら、郵便受けの小さな窓を押し開いて部屋の中を窺った。
 「な、なんだ!」
 真っ赤なネグリジェから二本の足が出ているのが見えた。宙に浮いた真っ白な足が。
 「く、首を吊ってる!」
 男は慌てて階段を駆け下りていった。
 
フレーム53


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第1章 イエローヘヤーが素敵な彼女
第2章 警察に突き出されないための交換条件は
第3章 マネキンちゃんは辛いよ
第4章 エスカレートしていく指示
第5章 女らしく装って
第6章 ナンパされて口説かれて
第7章 目覚めてしまったみたい
第8章 ナンパ男とのデート
第9章 深みにはまっていく
第10章 切るに切れない関係になって
第11章 行くところまで行ってしまった
第12章 盛りの付いた犬猫のように
第13章 卒業発表会のモデルを引き受けて
第14章 胸が大きくなると気分も変わって
第15章 大成功の卒業発表会
第16章 ファッションモデルとしてスカウトされて
第17章 睾丸を失う恐怖
第18章 暁の別荘にて
第19章 家庭を崩壊に導いた姉の自殺
第20章 手がかりを求めて
第21章 姉の恨みを晴らすために
第22章 死体にするより貢ぎ物に
第23章 絶望の処女喪失
第24章 そしてすべてが終わった

 
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