第11章 屈辱のSMクラブ

 その日、週に一度の女性ホルモンの注射のために壮一は外出した。デパートのトイレで変装用のマスクをして服を着替え病院へ出かていった。診察や血液検査を受けた後、注射をして貰った。処方された薬を持って違うデパートに向かい、トイレでマスクを取り除いて服装を元に戻し絵理子に戻ってマンションへ向かった。
 玄関を開けると人の気配がした。玄関の鍵は壮一の他には洋治しか持っていない。リビングに行くと、やはり洋治がいてブランディーを片手にテレビを見ていた。
 「あら? 今日は早いのね?」
 「アア、会議が急に延期になってな。予定がないのでここへ来た」
 時計は午後3時。4時間あまりも長くやられるなと壮一はちょっと落胆した。
 「どこへ行っていた?」
 壮一が何かを企んでどこかに行っていたのではないかと訝って、洋治はぎょろりと壮一を睨んで言った。
 「ちょっと買い物に」
 「買い物?」
 洋治はそんな答えだけでは満足しない。
 「何も買わなかったのか?」
 「え、ええ。気に入ったものがなくって」
 「そうか。・・・・そのバッグの中は何だ?」
 「これ? 薬よ」
 「薬?」
 洋治に盛るような薬ではないかと表情がいっそう険しくなる。
 「言わなくてもわかってるでしょう? 女になるためにはこれが必要なのよ。外出してきたのは買い物と言うより、これをもらいに行く方が目的だったの」
 「アア、女性ホルモンか。ちょっと見せろ」
 少し安堵しながらも、洋治は疑いを捨てていない。
 「見たってしょうがないわよ」
 「いいから見せろ」
 バッグを取り上げ、中の薬を取り出して洋治はしげしげと眺めた。
 「これが、女性ホルモンか・・・・。うん?」
 洋治は、バッグの中からピラピラのマスクを取り出した。
 「これは? これは、何だ?」
 「それは・・・・」
 女性ホルモンを貰うときにはそのマスクをして別人になりすましていることは洋治には話していなかった。見つかった以上、話さないわけにはいかない。壮一は話した。
 「ほう、なるほど。これを使うと別人になれるのか? ちょっと付けてみろ」
 「・・・・いいわ」
 壮一は、マスクに簡単に接着剤を付けて顔に押しつけた。しばらくして手を離すと、別の顔が現れた。
 「ほう・・・・」
 洋治は、口をぽかりとあげて感心したように壮一を見た。
 「今日はそのままプレーをしよう」
 イヤですと言っても洋治はやるに決まっているから、壮一は仕方なく洋治の要求に従った。
 『コムニス』という拘束具でで上半身を拘束され、イルリガートルで何度も大量浣腸された。
 次は何で責められるのだろうかと思っていると、洋治が意外な要求をした。
 「舐めろ」
 そう言って、自らのペニスを壮一の前に差し出したのだ。『コムニス』で拘束されまま、壮一は久しぶりに生のペニスを味わった。
 そうして、屹立した洋治のペニスが壮一の中に押し込まれた。
 (やっぱり本物の方がいいな)
 壮一は、半年ぶりの男の味を充分味わった。ただ、洋治の方は時計を気にしているようだった。ことが終わると、洋治は、マスクを外して早く片づけるように言って、マンションを出て行ってしまった。
 よくわからないなと思っていると、午後8時にマンションに戻ってきて、食事を済ませるといつものように壮一を縛っていたぶった。そしていたぶっただけでマンションをあとにした。
 ますますわからないと思っていた。それ以降は洋治は壮一にフェラチオやアナルファックを要求することはなかった。

 そんなことがあって2週間ほどたったある日、夕食をすませると、洋治が壮一に外出する用意をしろと言った。
 「どこへ行くの?」
 「いいから付いてくればいい。ただし、あの変装用のマスクをしろ」
 何を言われても従うしかない壮一は、変装用のマスクを付けて、外出用のワンピースに着替えて化粧を施した。ボブまでに伸びた髪の毛を梳いてから洋治の腕を取った。
 「お待たせ」
 洋治はうんと頷いて壮一を従えて車に乗り込んだ。洋治は行き先を言わない。壮一はキョロキョロと車の外を眺めていた。
 代々木あたりで洋治は目隠しをしろと言って壮一に黒っぽいネクタイを渡した。行く先を知られたくないようだと思いながら、壮一はネクタイを目の前に巻いた。
 かなり走り回ったあと、壮一は洋治に手を引かれてエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの動きからすると、地下へ向かっているようだった。
 「ここで待っていろ」
 壮一は椅子の座らされた。誰かが壮一に近寄ってきて目隠しのネクタイを外した。壮一がいる場所は真っ暗な部屋で、壮一の周囲だけが灯に照らされていた。暗闇に人の気配がした。しかし、灯が眩しくてよくわからない。
 突然、スピーカーから男の声が響き渡った。
 「さあ、みなさん。今日の生け贄が登場しました。どのように料理しても結構です。最初の方はどなたですか?」
 エッと壮一は驚きの声を上げた。
 「何をしてもいいのか?」
 少し年を取った男の声がした。
 「はい。傷つけたり、殺したりしなければ、どのようなことでも大丈夫です。この生け贄を提供された方からお許しを得ています」
 壮一は愕然とした。ざわめきからすると暗闇にいる男たちはひとりやふたりではないようだ。あんな性癖のある洋治が連れてきたところだから、SMクラブのようなところだろう。多数の男たちの目の前で裸にされれば男であることがばれてしまう。
 (・・・・そうか。だから、別人のマスクを付けさせたのだ。田倉絵理子として暮らしていることを知られないために)
 身の毛がよだった。洋治ひとりが考えることには限界があるが、多数の人間がいるのだ。何をされるかわかったものではない。壮一は椅子から立ち上がって逃げ出そうとした。
 走り出したところに男がいて、押し返された。反対側にも逃げられなかった。観念するしかなかった。
 「さあ、それでは軽く縛りと行きましょう。どなたか一番手はいませんか?」
 「わしがやろう」
 腹の出た恰幅のいい男が麻縄を持って進み出てきた。抵抗しようとすると、頬を叩かれ、麻縄で鞭のように叩かれた。いいぞ、いいぞの声が部屋の中に響いた。
 しばらく逃げ回っていたけれど、とうとう組み伏せられて腕も足も縛られてしまった。壮一は芋虫のように床に転がされた。
 「写真を撮りたい方はどうぞ」
 司会者がそう言うと、フラッシュがあちこちで光った。
 「服は? 服は破ってもいいのか?」
 「少々お待ち下さい」
 司会者らしい男がごそごそやっている。どうやら、洋治がそばにいて尋ねているようだ。
 「服については問題ないそうですので、どうぞご自由にされて下さい」
 その声を聞くと、男は鋏を取り出して壮一の着ていたワンピースにハサミを入れて、縛った縄の間から小さく切り刻まれた服を取り出していった。フラッシュが焚かれる。
 ガードルが切り取られたとき、男が不思議そうな顔をした。ショーツの前が膨らんでいるのが明らかだったからだ。パンストの前が切り開かれて、ショーツのサイドが切られて壮一の股間が露わにされた。
 「おおっ!!」
 男たちから歓声が上がった。
 「男か?」
 「ニューハーフだ!」
 ブラジャーが切り取られ、壮一は全裸で縄に縛られて転がった格好になった。その間にもフラッシュが光り続けた。マスクをしていても、壮一は恥ずかしさで一杯だった。
 最初の男は、壮一が女だと思っていたのに男だったことがわかって食傷したのか、席に戻っていった。すぐに別の男が出てきて、壮一を縛り直した。フラッシュまた光った。縛り方を変えて縛られ、写真を撮られた。
 「アナルファックはいいのか?」
 「よろしいですが、その前に綺麗にした方がいいと思われますが」
 司会者が答えると、よし俺がやろうと痩せた男が名乗り出てきた。イルリガートルが運び込まれてきて、口から溢れ出てくらい浣腸液を注入され、壮一は多数の男が見ている前で床の上に汚物をぶちまけた。何度も何度も浣腸されて、壮一は虚脱状態になっていた。
 アッと思ったら、電動のディルドーを押し込まれてぐりぐりと回されていた。男たちが入れ替わり立ち替わり、いろいろなディルドーを入れては出した。そんな状態でも壮一は性的に興奮していた。ペニスの先から透明な液体が溢れ出ていた。
 異様な感覚に、股間を見てみると、男のひとりが壮一のペニスを持って尿道に何かを入れていた。最初は痛みが襲ってきたが、ゴムのようなものを出し入れされると奇妙な快感のようなものが沸いてきた。
 「彼女はフェラチオも得意です。ご希望の方はどうぞ」
 司会者が言うと、目の前にいた男が早速ズボンを下ろし始め、勃起したペニスを壮一の前に差し出した。
 「ちょっとお待ち下さい」
 そう言って、司会者が壮一のそばにやってきて、小さなメモを壮一に見せた。
 『おまえの命運は俺が握っているんだ。妙な真似はするなよ』
 そう書かれていた。ペニスに噛みついたりするなという警告だ。壮一は諦めて男の差し出したペニスを銜えてしゃぶった。
 次から次へと男たちがペニスを差し出す。壮一はそれを舐め続けた。そうしているうちに、男のひとりが壮一の腰に手をかけ、ぶすりと差し込んできた。男は、がむしゃらに腰を動かす。フェラチオをしていた男も腰を動かし始め、壮一は上下から貫かれて喘いだ。口の中と直腸にぶちまけられた。何人を相手にしたのかわからない。胃も直腸も男たちの放った精液で満たされた。
 壮一はいつしか意識を失っていた。

 気がついたら、毛布にくるまれて洋治の車の助手席にいた。
 「気がついたか?」
 ハンドルを握った洋治が前方を見たまま言った。
 「ひどい・・・・」
 「ひどい? 結構感じていたじゃないか。いい声を上げていたぞ」
 薄笑いを浮かべて壮一をちらりと見た。
 「もう、あんなことしないで」
 「いや、皆さんがお気に召したようだから、来週も行って貰う」
 「いやです!」
 「そんなことを言える立場か!」
 涙がこぼれた。あとからあとから。
 「おまえはわたしの奴隷だ。それを忘れるな」
 壮一は、ホントの女のように泣き続けるしかなかった。



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