第7話 ぼくは未来社会の救世主になる?

 「ペニスの大きさは、平常時4.9センチ。勃起時の予想値は、9.7センチ」
 やっぱり分かっていた。勘弁してよ・・・・。待てよ。凄いのはって、言ったよな。あの言い方は、・・・・凄く小さいという意味には聞こえなかったけど・・・・。
 「正常男性の2倍はあるわ」
 正常男性の2倍!!! ぼくの聞き違いか!?
 「博士。今、何て言いました? 2倍って、どういうことですか?」
 「正常男性の2倍の大きさがあるって言ったんだけど・・・・」
 「正常男性って、今現在の、ってことですか?」
 「そうよ。あなたの時代じゃなくて、今の話しよ」
 2倍ってことは・・・・、9.7センチの半分ってことだ。ええっ!! 5センチもないのか?
 「どれくらいの大きさなんです? 今の男性のペニスの大きさは?」
 「平常時3センチ。勃起時5センチという所かな?」
 思った通りだ。見かけが女性に近くなっているから、ペニスも小さくなったってことか!
 「ぼくのペニスは、凄く大きいってことですか?」
 「あなたのような数値は、これまで見たことがないわ」
 信じられなかった。タイムスリップして良かった。もう悩まないですむ。
 「あなたの精液を採取して、検査したいんだけど、いいかしら?」
 「精液を採取するって、ぼくにマスをかけってことですか? それとも・・・・」
 「自分で出して貰ってもいいけど、もし良かったら、・・・・わたしが相手をしてもいいわよ」
 桜木博士は、そう言いながら、ぼくのベッドに近づいてきて、首から胸に指を這わせた。少し年は行っているようだが、結構美人だ。ぼくは、勃起してしまった。博士の目が、ぼくの股間に釘付けになって、爛々と光っている。
 「・・・・是非、わたしに相手をさせて。悪いようにはしないから」
 「わ、分かりました」
 マスかいて出すよりは、ましだと思った。初めての相手は、少し年が行ったベテランの方がいいと聞いているし・・・・。
 「ここでは、わたしも恥ずかしいから、わたしのマンションに行きましょう。許可を取ってくるから、待っててね」
 博士は、少女のように目を輝かせて、部屋を出ていった。

 10分ほどして、博士が戻ってきた。
 「許可が下りたわ。うちまで行きましょう」
 「は、はい」
 「その前に、これに着替えて」
 手渡された服は、レースの飾りの付いたブラウスだった。それに、だぶだぶのパンツ。どちらも、ぼくの時代からすれば、女物の服だ。
 「これ着るんですか?」
 「あなたが、旧人類だと知られないためよ。あなたの感覚ではスカートは穿けないと思ったから、パンツにしたわ。それなら着られるでしょう?」
 「ええ、まあ」
 「顔も現代人らしくないから、このカツラを被って、マスクをしなさい」
 郷に入っては、郷に従え。仕方がない。ぼくは、服を着替えて、カツラをして、マスクをした。
 「うん、これなら、誰にもばれないわね。さあ、行きましょう」

 博士について、病院の地下に行った。ここに、博士の車が置いてあった。4人乗りの、卵のような車だ。
 「自宅へ」
 博士がそう言うと、車は勝手に走り出した。凄い! 全自動運転の自動車だ。車は、猛スピードで走っていく。こんな小さな車だから、事故を起こしたら、ひとたまりもないのではないかと思った。
 「こんなスピードで走って、大丈夫なんですか?」
 「何が?」
 「事故ですよ」
 「絶対に事故ったりしないわ。衝突回避センサーが付いているから大丈夫。あなたの時代のような渋滞もないし、万が一混んできたら、自動的にスピードが落ちるから、安心していいわ」
 「凄いんですね」
 「科学の進歩のおかげよ。交通事故は、今やゼロに近いのよ。たまに、自動運転装置を壊して運転する輩が、事故を起こすことはあるけど、滅多にないことよ」
 「ふうん」
 これは画期的だと思った。交通事故がないと言うことは、年間1万人以上も死亡が減ることになる。凄い。凄い。凄い。

 博士のマンションに着いた。マンションは、40階建てで、博士の部屋は28階にあった。その28階のすべてが、博士の部屋なのだ。
 「40階で、40世帯が住んでるのよ」
 「他のビルも全部そうなんですか?」
 「そう。お隣同士って言葉はないわ。上か下かしかないの」
 驚かされることばかりだ。
 「家族は何人居られんですか?」
 「娘がいるわ。今はいないみたいね。どこかで遊んでるんでしょう」
 「いくつなんですか?」
 「娘? それともわたし?」
 「博士の年を聞くのは失礼でしょう?」
 「娘の年を聞いたら、わたしの年もおよそ分かるでしょう?」
 「じゃあ、質問は撤回です」
 「さっそくだけど、始めましょうか。いいでしょう?」
 「その前に、ジュースか何かありませんか? 喉が渇いちゃって」
 「分かったわ」
 博士は、スポーツドリンクのようなものをぼくに注いでくれた。複雑な味だ。ポカリスエットをどうかしたような感じだった。

 ベッドルームに入ると、博士は、一匹のメスになった。かなり興奮している様子だ。ぼくの勃起したペニスにむしゃぶりつくと、凄い、凄いを連発した。ぼくは嬉しくて仕方がなかった。ぼくの時代では粗チンなのに、こんなに喜んでくれるなんて。
 博士は、ふと気がついたように、ぼくのペニスにコンドームらしきものを付け始めた。
 「それ、コンドームですか?」
 「そうなんだけど、あなたに合うような大きなものがなくて、急遽作ってもらったから、破れないか心配だわ」
 「破れたらどうするの?」
 「破れたら、わたしの腟の中から、注射器で吸い取ることにするわ」
 博士が、自分の腟の中から、ぼくの精液を注射器に取っている場面を想像して、妙な気分になった。
 「妊娠の心配は?」
 「ピルを飲んでいるから、その心配はなし。さあ、続きをやりましょう」
 博士はかなり興奮しているから、すぐにでもインサート可能だとは思ったが、ぼくの方も、博士に少しサービスしてやろうと、博士の股間に顔を埋めた。
 「は、博士! こ、これは、なんですか?」
 「あら、クリトリスよ。それが、どうしたの?」
 クリトリス!? そこには、ぼくの親指より大きな突起があった。
 「どうしてこんなに大きいんですか?」
 「女はみんなそうよ。聞いてないの?」
 「聞いてませんよ」
 「わたしのは、小さいくらいよ」
 男のものが、5センチって聞いたけど、それよりも大きいなんて・・・・。
 「さあ、早く! 早く、来て」
 大きなクリトリスにビックリして、ちょっと萎え掛かったけど、博士の口撃に、ぼくは回復して、精液を博士に贈呈することができた。勿論、コンドームは破れなかった。

 「病院は居心地が悪いでしょうから、しばらくここにいてもいいわ。許可を取ってあるからね」
 「分かりました」
 「帰りが少し遅くなるかも知れないから、食事の仕方を教えてあげるわ。キッチンに来て」
 キッチンで、食事や飲み物の作り方を習った。何と言うことはない。タッチパネルをいくつか押して、お好みの料理を選ぶと、ロボットが作ってくれるようだ。

 博士が、ぼくの精液を手に、慌ただしく出て行ってから30分ほどして、玄関が開いく音がした。
 博士に、この時代のことを勉強して置きなさいと言われて、データベースの画面を見ていたぼくが、目を上げると、凄い美人の若い女の子が部屋に入ってきた。
 「誰? あなた」
 「ぼくは、里見明。桜木博士の知り合いだよ。ここにいてもいいと言われたんだ。君は、博士の娘さんだね?」
 「ママの知り合い? ママの愛人なの?」
 「ち、違うよ。博士の研究のお手伝いをしているんだ」
 精液を提供したなんてことは言えるはずがない。そんなこと言ったら、愛人ってことになってしまう。
 「あなた。声が低いのね」
 「そうかな?」
 博士の娘は、警戒するような目でぼくを見ていた。
 「胸も小さいのね。あなた、男でしょう?」
 「男だけど、胸はないよ。この時代の人間じゃないからね」
 「えっ!? 何て言ったの?」
 「ぼくは、21世紀の人間なんだ。タイムスリップしてこの時代に来た。だから、君たちとは違うんだ」
 博士の娘は、まだ疑るような目で見ていた。
 「そんなこと言うのなら、証拠を見せて」
 「見せてあげるよ」
 ぼくは、着ていたブラウスを脱いだ。博士の娘は、ビックリしたような顔で、ぼくの胸を見つめていた。
 「乳房がない。ほんとなのね。21世紀の人間って言ったわね」
 「そうだよ」
 「じゃあ、あそこも大きいのね」
 「あそこって、あそこのことかい?」
 「そうよ。10センチ以上あるって聞いたけど・・・・」
 「10センチはないけど、それくらいはあるよ」
 「み、見せて! お願い」
 博士の娘は、ぼくに駆け寄ってきて、パンツを降ろそうとした。
 「や、止めてくれよ。何するんだ」
 博士の娘は、止めようとしない。とうとうぼくは、パンツを脱がされてしまった。
 「凄い。こんなの見たことがないわ」
 「これでも、ぼくの時代では、小さい方なんだよ」
 「それでも凄い」
 博士の娘に見つめられて、ぼくのペニスは勃起していた。そのペニスに、博士の娘がむしゃぶりついてきた。ぼくは、逃げ出さなかった。今度は若い女だ。それも、凄い美人だ。逃げ出す理由はなかった。
 博士の娘には、博士より大きなクリトリスが付いていた。しかし、そんなことは問題ではなかった。博士の娘は、激しく悶えるのだ。マンション中に、いや、日本中に響き渡るような声で。ぼくのペニスで、女がこんなに悶えるなんて、信じられなかった。
 終わったあと、博士の娘は、しばらく気絶していたようだ。5分ほどして、気がついた博士の娘は、ぼくにしがみついてきた。
 「もう、最高に良かったわ」
 「ほんとに?」
 「ほんとよ。ずっとここにいるんでしょう?」
 「さっきも言ったけど、ぼくは、この時代の人間じゃないから、どこに行こうにも、行けやしないんだ」
 「ずっとここにいてね。うんとサービスしてあげるから」
 「君の名前は?」
 「アヤ。桜木アヤよ」
 「桜木アヤか。いい名前だね」
 「ありがと。そろそろ夕食の時間だね。わたしが作ってあげるわ」
 「ロボットが作ってくれるんじゃないのかい?」
 「ロボットより、手作りの方がいいでしょう?」
 「うん」
 「わたし、お料理学校に通ってるから、上手いのよ」
 「期待してるよ」
 年齢を聞き忘れた。忍と同じくらいに見えるが・・・・。忍はどうしているだろうか? ぼくが消えてしまって、誰かと結婚し・・・・。もうこの世にはいないんだなあ。そう思うと、涙がこぼれた。

 夕食は、美味かった。アヤは料理が上手だ。夕食がすんで、アヤともう一度した。今度もアヤの乱れ様は凄かった。この、大きなクリトリスさえなかったら、何の違和感もないんだが・・・・。
 博士はマンションに帰ってこなかった。ぼくの精子を材料に、今頃は顕微鏡でも眺めているんだろう。

 次の日も博士は帰ってこず、アヤとふたりで過ごした。食事をしては、ベッドに入り、また食事をするという具合だ。
 その次の日、アヤは、今日は仕事だと言って、朝の一発がすんだあと、出掛けていった。アヤは、海洋牧場で働いていると言うことだ。
 昼食をロボットに作ってもらっていると、桜木博士が帰ってきた。
 「里見さん、あなたの精液も凄いわ。1CCあたり7000万も精子が泳いでいたわ」
 「7000万って、多いんですか?」
 「普通の男の、7,8倍って所ね」
 「それって、この時代の男の精子が少ないってことですよね」
 「そういうことね。それに、活動性も抜群よ」
 「そうですか。このあと、ぼくは何をすれば・・・・」
 「考えがあるの。少し待って」
 「分かりました」
 アヤとのことを言おうかどうか迷っていたら、博士がぼくにすり寄ってきた。
 「里見さん。今日は、仕事抜きで、わたしとしてくれない?」
 拒否するにできなかった。ぼくは、博士と寝てしまった。母娘と関係を持つなんて、ぼくは何て男だ。

 アヤは、月、水、金が仕事、博士は、火、木、土が仕事らしい。ふたりが顔を合わせることは、滅多にないと、アヤが言っていた。
 だから、ぼくは、アヤと博士を交互に抱くことになってしまった。博士は、一日一回抱けばすむけど、アヤは、3,4回だ。こんなんじゃあ、体が保たないよと思いながらも、結構やれるもんだ。
 2週間して、アヤが、友人という女の子を連れてきて、いわゆる3Pをやった。少しマンネリになっていたから、これは良かった。
 その日から、アヤは数人の女の子を交互に連れてきた。ぼくは、幸せだよ。こんなに若い子たちとやれて。

 桜木博士のマンションに来て4週間目が過ぎようとしたとき、博士にアヤとの関係がばれてしまった。
 「ママ! お願い。ずっと、明のそばにいさせて」
 「アヤ! 里見さんは、これからは、国家の重大な使命を帯びることになるんだから、近づいちゃだめよ」
 「ママ、お願いよ」
 「だめよ。諦めなさい。里見さん、さあ、行くわよ」
 「行くって、どこに?」
 「付いてくれば、分かるわ」
 泣き叫ぶアヤを置いて、ぼくは博士について行った。アヤのことは可哀想だけど、博士の言うことは聞いておかないと、この先、この世界では生きて行けそうもない。

 博士に連れて行かれたのは、博士のマンションより、少し狭いマンションだ。狭いと言ったって、豪華な3LDKだ。
 「ここに住んで貰うわ」
 ここに住んで、アヤではなく、博士を毎日抱くことになるのではと、少し不安になった。しかし、そうではなかった。
 「生殖生物学のグループの博士たちと検討した結果、あなたは、この世の救世主になれるだろうと言う結論になったの」
 ぼくは、話しの意味が分からなかった。
 「女性化してしまった男性を、すぐには元に戻せないけれど、あなたのDNAを使えば、男性が徐々に21世紀以前のような、男性らしい男性に戻るんじゃないかと言うことなの」
 「分からない」
 「簡単に言うと、あなたに子どもをたくさん作って欲しいの。世界が変わるくらいの子どもを」
 「ええっ!?」
 「あなたの精液を使って、人工受精もするけど、あなたにも頑張って欲しいの」
 「頑張るって、女とセックスしてくれってこと?」
 「そう言うこと。ああ、心配しないでいいわ。今の女には、病気はないし、あなたにも好みがあるでしょうから、写真を見て、気に入った女性だけを選んで貰えればいいわ。いいわね」
 博士は、写真がずらりと並べられたファイルをぼくに手渡した。
 「気に入った人に丸を付けて。若い番号順にやってくるから。いいわね」
 「やらないとだめですよね」
 「言ったでしょう? あなたは、この世の男の、いえ人類の救世主になるのよ。神とあがめられるわ」
 ぼくは、神様になる。女と寝るだけで・・・・。
 「分かりました。頑張ってみましょう」
 「明日から、さっそくお願いするわ」
 「はい」
 「里見さん。もう一度抱いていただけないかしら。今日しかチャンスはなくなるでしょうから」
 ぼくは勿論オーケーした。若い女を抱かして貰えるお礼だ。

 翌日から、博士が言った通り、美人の女の子がやってきた。ぼくは、何て幸せ者だ。毎日毎日、美女ばかりを3人4人と抱くことができるのだ。ぼくは、ハーレムの王様だ。ぼくは、幸せに浸っていた。
 半年の間に、ぼくは600人あまりの女と寝た。もうセックスはイヤだ。何て事はない。まだまだいけそうだ。1000人、2000人。いや、世界中の美女とやりまくるぞ。

 アヤが、ぼくの居場所を突き止めて、やって来た。
 「明! お願い。わたしと逃げて!」
 この世界に来て寝た女の中では、アヤが一番好きだ。アヤと一緒に暮らせるのなら・・・・。しかし、日替わりの美女も捨てがたいし・・・・。
 迷っているぼくを、アヤは無理矢理引っ張っていく。玄関を出たところで、ぼくは躓いて転び、気を失った。

 「里見さん、里見さん」
 そんな声に目覚めると、目の前に忍がいた。どういうことだ!?
 「良かった。死んだのかと思っちゃった」
 ぼくのそばに座った忍のバスタオルの下から、黒々とした茂みが見えた。
 「大丈夫だよ」
 「お願い。ベッドに戻って」
 「分かったよ」
 あれは夢だったのだろうか? アヤ、博士、そして何百人もの美女たち。夢に違いないと思いながらも、未来の女たちの、あの大きなクリトリスの感触が、鮮やかに残っていた。
 ぼくは、未来で半年を過ごし、西暦2000年の同じ時間に戻ってきたのだろうか? 分からない。しかし、あれが夢だとしても、ぼくには、何故か自信ができていた。例えペニスが小さくても、女を喜ばせることができるという自信が。

 忍が、ぼくの下で喘いでいる。ぼくは、忍が好きだ。ずっと忍のことを思っていた。ペニスが小さいという悩みのために、それが言い出せないでいた。今日は、それを自然に言える。
 「忍、愛してるよ。ずっと君のことが好きだったんだ」
 「わたしもよ、里見さん。あなたに抱かれて、こんな嬉しいことはないわ」
 愛はペニスの大きさじゃない。相手を思う強さだ。あの出来事は、ほんとにあったことなのか、夢なのか分からないけど、そのことをぼくに自覚させるためだったに違いない。

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